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アフター・ヤンのtntnのレビュー・感想・評価

アフター・ヤン(2021年製作の映画)
4.0
フィックスでフレームを意識させる画面作りが多い。グラスの中にゆらゆらゆれる茶葉と、記憶空間の中でゆらゆら漂う記憶の欠片。博物館の展示品の合間を縫うような横移動のカメラと、森の木々の間を縫うような横移動のカメラ。
といった具合に、差異と反復で構成されているような映画。だからこそ、2回現れる、一見ラフな手持ちカメラのシークエンスに緊張がある。「お茶をなぜ飲むのか」というジェイクへのヤンの問いは、そのままジェイクという人間の本質にヤンが入り込んでいくような問いでもある。
小津安二郎の映画は大して見てないからわからないけど、近未来のフェイスチャットアプリの場面は、トリュフォー言うところの「視線の軸がぶれていることで、切り返す瞬間に相手がいないのではと言う不安」を喚起する意味で、まさに小津的。
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