アフター・ヤンのはぐれのレビュー・感想・評価

故障したAIの記憶を辿る物語。
そのオリエンタルな構造を有する映像美に終始悶る。
空間の余白、音の余白の配分が絶妙。
アジア人とは何か、家族とは何か、そして人間とは生物とは何か。そんな壮大なテーマをミニマルなSFで探求しているから好感が持てる。

数秒の断片的な映像の積み重ねでひとつの個体の一生を再現する試み。思い出と言うよりは空間の記憶。
そこに重なる坂本龍一の音。
もうたまりません。

「無がなければ有も存在しない」
コゴナダが追い求めたのはもう禅の境地よ。