ブルーノ

アフター・ヤンのブルーノのネタバレレビュー・内容・結末

アフター・ヤン(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

 プロダクションデザインが本当に秀逸で、近未来なのに生活感がある室内のインテリアや博物館のオブジェクトから案内用のフォントに至るまで徹底されていて感動した。テクノのメモリーバックのシーンは、映像体験として新鮮であったのと同時に、UIテザインがどことなくアレックス・ガーランドの『DEVS』やSONY(プレイステーション)を想起させた。

 本作は、前作『コロンバス』やAppleTV『パチンコ』よりも静謐かつ抑制の効いた物語で、監督が敬愛する小津作品に最も接近した作品のように感じた。近未来のビデオ通話という装置を使って、大胆な小津オマージュを仕掛けてきたときには思わずニンマリしてしまった。

 しかしながら、前述のテクノのメモリーバックの映像表現や、回想シーンをいくつか撮ったテイクを大胆につなぎ合わせたりオーバーラップさせることで表現するなど、映画表現の実験も見られて流石だなと思った。

 最後に、2回目に見て気づいたのだが、コリン・ファレルは店に置いてなかった粉茶を試飲していたし、セキュリティに不安がある引き戸式のガラス戸は、閉じたときに「ウィーン」という自動ロックの音が鳴っていたので安心した。劇中やエンディングに流れる曲は、岩井俊二監督『リリイ・シュシュのすべて』からの引用とのことなので見てみます!


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