こつぶライダー

月影の下でのこつぶライダーのレビュー・感想・評価

月影の下で(2019年製作の映画)
3.2
うーん。
『12モンキーズ』っぽいSFサスペンス。
が、終わりは『ターミネーター3』っぽさも私には感じられてしまいました。

はじめの爆発シーンが現代風だったところから、1988年に飛び物語がスタート。
血みどろ脳溶け殺人事件が多発…ってあたり「おやおや、かなりの暗い作品か?」という暗示と、タイムパラドックスの雰囲気を醸し出していて掴みは良かった。

しかし、謎だった殺人鬼・フードの黒人女性が未来から来た人物だということを主人公のみ把握したところから、彼女の素性を予測してしまい、結果的にそれが当たってしまって肩透かしくらった。
やはり、この手の作品はオチのどんでん返しや予想の裏切りが肝なので、私の中では評価が低くなってしまいました。

SF通からしたらネタは擦り切れるほど扱われているタイムパラドックスもの。どれだけ科学的に説得力を持たせられるかが重要。
そこに主人公の背景、人間ドラマが乗ってくることで、感情が揺さぶられるんだと。

その2点から、ちょっとパワー不足でした。

以下ネタバレ感想。












まず、話をまとめると、
・未来では過激派によるテロから内紛が勃発、ディストピア化していた。それを防ぐために黒人女性リアが過去に戻り過激派を殺害していた。
・殺人鬼だったリアは主人公・刑事トーマス・ロックハートの孫だった。
・1988年の時点でトーマスがリアを殺してしまっていたが、過去への殺人旅行は一方通行であるため、これをクリアする計画は止められない。
・実はリアをこのミッションに参加するために未来のトーマスが仕向けていた。
・未来で破壊されていたビルは戻り、炎は消えていくシーンで終わり。

これって、そもそもその未来も出来上がるって時間軸だったってこと?
"鶏が先か卵が先か"って理論を追求したドラマ版『12モンキーズ』をギュッと2時間に詰め込んだ感じだった。
結局、"全てなかったこと"みたいにはならないから、トーマスの妻は帰ってこないし、娘との時間も変わらず、孫娘リアも死ぬ運命、、、という、トーマスにとっては最悪にも思える結末。
トーマスと共に話が進むからこそ、彼目線で見ると胸糞でしかない。結末知りながらリアを殺人鬼に育てんのかよぉ。人生ハードモードだったな。

また、"未来での被害をなくせた"って考えでいくと、それを知っているであろう一定層の記憶はどうなるのか?
まあ、これも過去の改変ではなく未来の改変になるってことか?殺した彼らがいた未来での話だったわけだから、本来いたはずの彼らがいなくなったら違う未来になるよね?
そのあたりの細かいプロットの説明は不足していて、SF部分は雑だった。
月の引力、9年毎とか、そのあたりは面白かった。ブレスレットという伏線も回収していたし、うーん、、、惜しい!
こつぶライダー

こつぶライダー