原題: The Two Popes
先代の教皇 ベネディクト16世(ドイツ出身)、現在の教皇 フランシスコ(アルゼンチン出身)が枢機卿 ホルヘ・マリオ・ベルゴリオであった時代から二人の間に交わされる会話を中心とした、現実に基づいてつくられた本作。二人の教義に対する考え、方策は当初正反対であったところが、雪解けのようにお互いを認め合うようになります。
保守派の教皇、改革派の枢機卿。それぞれの出身国故に背負わされた歴史の重み。本作のテーマは重いものを抱えつつ、ABBAやThe Beatles、サッカーや、Wifiに至るまで、親近感を抱かせる要素を盛り込み、観る者を惹きつけてくれるのだと思います。
教皇や枢機卿などの衣装を纏った二人は本物にしか見えません。先代教皇役のアンソニー・ホプキンスのふとした時にこぼれる笑顔、ラストで教皇になる枢機卿役のジョナサン・プライスの控えめながら凛とした姿勢に心の中に温かいものが流れるのを感じました。
史実と異なるシーンもあるとのことですが、全てが実話のように感じられ、新教皇を選ぶ「コンクラーベ」など、ああ、こんなニュースが世界を駆け巡っていたことがあったなと、懐かしく、また興味深く鑑賞しました。
