ヒロオさん

素晴らしき、きのこの世界のヒロオさんのレビュー・感想・評価

素晴らしき、きのこの世界(2019年製作の映画)
3.0
キノコのドキュメンタリー。

キノコオタクの旦那と鑑賞。
毎年夏になると、旦那がキノコを採集して、それを飲食店に売ったりしているので(笑)、私も釣られてキノコ探しが地味に趣味(?)。
昨夏は旦那指導の下、アンズタケ、ヤマドリタケモドキ(ポルチーニもどき)などの食用キノコはじめとして、他にもカラフルなキノコや毒キノコと出会うことができ、楽しかった!

さて、本題である映画の話に移るが…

タイムラプスで映し出されるキノコの映像はとても美しかった。

だが、内容に関しては科学的に怪しい話が多数あり、期待外れであった。

幻覚キノコが人類の祖先の脳の発達に寄与したという仮説は素人目にも怪しい…笑
また、アルツハイマー、がん、感染症の治療薬として菌類研究が期待されているという話も、間違いなくそうだろうけど、本作の場合はその情報源が怪しく思えてしまった。

体系的に集めていない情報を用いたり、その信憑性を確認せずに結論に達している感じが否めない。そういうの、Anecdotal Evidenceという論理の誤りに当てはまるのでは?

仮説や期待として客観的に扱う分にはまだ良いが、そこに主観的な個人の体験を持ち込んで、論理を強化しようとしてくるあたりも鼻についた。
エピソードも神秘体験味あってキモいし。

ワードチョイスも大げさ。
キノコが「革命家」とか、あたかも世界の創造主であるかのような言い草だったりとか、キノコを持ち上げすぎじゃね?と感じるような表現が多い。
事実から飛躍し、曖昧で感情に訴えかけるような言葉を用いているあたり、完全にGlittering Generalityという論理の誤りだと思った。

キノコの凄さを伝えたいのはわかるが、それなら小手先の言葉ではなく、客観的な情報でもってキノコの生態に迫ってほしかった。

キノコの生態に関する情報に関しても、旦那曰く、そこはまだ明言できないはずとか、この言い方は誤解を招くという部分があったみたい。(例えば「炭素は土壌に蓄積する」という話とか)

後半はもっとヤバい。だいぶ思想強め。
キノコの幻覚作用による治療の話になるのだが、死の恐怖、感動、愛だとか、話がもはや宗教やスピリチュアルの世界になってきて、飛躍が凄まじい。

結論、ヒッピー残滓のキノコ幻覚プロパガンダ映画とおもた。
ヒロオさん

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