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血の婚礼のnyakoのレビュー・感想・評価

血の婚礼(1973年製作の映画)
4.0
穏やかな田舎町の景色から始まるのにサスペンスな雰囲気全開。
お互い伴侶のいる者同士の不倫愛からやがて殺人、隠蔽…と転落してゆく様が描かれる。

ふたりの逢瀬が思っていたよりも激しすぎて目が丸くなる。
視線が合ったらジャンプしてむしゃぶりつくような激しさは、欲情に目がくらんでいるような愚かしさ。
リュシエンヌ(ステファーヌ・オードラン)が夫の前では貞淑で、ピエール(ミシェル・ピコリ)の前だと途端にさかった女になってしまったり、罪を犯しても恐ろしいほど罪の意識がない。
それは恋に目が眩んでいるせいなのか、それが本来の姿だっただけなのか。

捕まったうなぎが棍棒で殴られる断末魔に終わりのイメージ重なってぎょっとする。
酔いしれる男女の背後で派手に燃えだす車。
少しでも姿を見たくて、ピエールの家の前を通り過ぎるリュシエンヌ。窓を通じてじっと視線を交わす2人。

リュシエンヌの娘のとった行動は果たして純粋な気持ちゆえなのか、それとも?
その瞳からは読みとれなくて。
それが最後までミステリーだった。
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