ベビーパウダー山崎

血の婚礼のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

血の婚礼(1973年製作の映画)
4.0
深夜、パリに向かう車内のくだり。さあこれから大変なことがおこりますよ的なやけに威勢の良い音楽とともに走り出すあのゾクゾクとした感じ。暗闇からぬっと現れるミシェル・ピコリの顔からの撲殺(何度も何度も殴り続けるのが最高)。車を燃やすためのガソリンを取りに行くピコリをただ待っているステファーヌ・オードランがふらふらしているだけの時間が思いのほか長くてそのリアルさが素晴らしい。不倫して遊んでいる間は喜劇だとしても、二人の愛が強くなればなるほど悲劇へと変わっていく。馬鹿げた笑いが段々と真顔にならざるを得なくなる、逃げ場所がない「映画」が俺は好き。終盤のピコリ(西村晃)が逮捕されるときの凛とした姿…シャブロルの傑作。