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映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者のrishのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

「君のその落書きも、いつか誰かの宝物」

しんのすけ、ブリーフ、ニセななこおねいさん、ぶりぶりざえもん、ユウマくん。世界を救ったのは「5人」の勇者だった。
でも、タイトルには「ほぼ4人の勇者」とある。なぜか?
なぜなら「ほぼ4人の勇者」=世界を救った勇者、ではないから。
私はそう感じた。
この4人の勇者とは、ユウマくんにとっての他の4人のこと、もしくはしんのすけにとっての他4人のことを指している。
終わり際のシーン。思い出が大切なものになったシーン。
きっと、主題歌の歌詞のように、落書き(が生み出したもの・こと)が2人にとって宝物になったんだなってそう思えた。
こういう解釈もいい。素敵だと思った。

そして、みんな大好き、ぶりぶりざえもん。
仲間はすくに裏切るけれど、我々の期待を決して裏切らない。
どこか憎めない「救いのヒーロー」は健在だった。
やっぱり、しんのすけのヒーローは彼なんだって。
アクション仮面でも、カンタムロボでもなく、
スケッチに描いて実体化させたのは、ぶりぶりざえもん。
もともと、しんのすけの落書きから生まれた彼は
しんのすけの一番のヒーローであり、宝物。
そして、誰かの宝物が、みんなを救うヒーローになった。
いいね。

こんなにも素敵な作品なのに、嫌〜なやつらも出てくる。
残念ながら、そういう輩はどこにでもいやがるのが世の常。
ミラクルクレヨンをなくした(使い切ってしまった)しんのすけたち。
それを大勢の大人が責める。
何もやってないくせに。むしろ、助けてもらったくせに。
なんとも身勝手な大人たち。
クレヨンを使ってしまったのは
ユウマくんがお母さんを救うためだったと知ると
申し訳なさそうにおし黙る。
自分は悪者になりたくない。でも誰かのせいにしないとやっていけない。
そんな社会への風刺が、胸に突き刺さる。
「オラは母ちゃん助けた。ユウマくんもお母さん助けた」
そう言えるしんのすけが、すごくカッコよく見えた。

減点ポイントを挙げるなら、
ラクガキングダムの大臣たちはなんだったのかってところ。
いいキャラしてるのに、ほとんど出番なし。残念。


総評
『クレヨンしんちゃん』生誕30周年にふさわしい映画だったと思う。好き。
rish

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