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’96のysmsのネタバレレビュー・内容・結末

’96(2018年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

22年前に会えなくなったきりの初恋の相手と同窓会で会う。
珍しく歌って踊らないインド(タミル)映画。
冒頭で主人公の1人、写真家ラームが各地を放浪している長い映像がとても丁寧で美しくて、最後までその丁寧な美しさが保たれている映画だった。

どうしてもはっきり自分の気持ちを行動に出せないモジモジ純情青年のラームを演じるVSPが大変上手くて本当に説得力がある。見ていて「しっかりしろよ!」て思うよりも、あぁ…分かる…ていう共感。特に遠くに行ってしまった初恋を大人になって掴み寄せるには色々なリスクがあって自分の気持ちだけではどうしようもないし、「何よりも彼女には幸せでいて欲しい」という愛が一番の願いなんだろう。己の幸せよりも彼女の幸せが大事なんだ。
別れの飛行機の中でジャーヌが泣きはらしていたけど、男女関係が「どうにもならない」なんて事はないと分かっているからツライんだろうな。ぶっちゃけ、この手を伸ばせば…今の自分を全部捨ててしまえばラームの所へ行く事は出来る。可能なのに出来ない自分に泣きたくなるんだ。

ラームは生徒たちに「カメラだけが時を止められる」と教えていた。
捕まえられない今という一瞬を、そして胸の中でいつまでも消えていかないあの頃の一瞬の思い出を、彼はずっとそうやって留めていたかったんだろう。

伝言を頼まれた女の子、簡単な3文字の名前ぐらいちゃんと覚えてやってくれよぅ(涙)


【劇場】
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