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i-新聞記者ドキュメント-のarchのレビュー・感想・評価

3.6
2019年公開の作品で、撮影はもっと前だろうが、2024年現在でも本作で描かれている問題は、解決していない。

メディアと権力の癒着、「知る権利」を侵害する政府、権力による嘘八百etc… 劇中にも発言があったが、次の話題にすり替えれば、国民は飽きるか忘れるという国民を舐めてる態度に由来する問題は、自民の裏金問題での対応に至るまで変わってない。

本作は1人の記者に密着する。日本においてジャーナリストはどこかの会社に所属せねばならない中で、それを飲み込みながらも必死1人のジャーナリストの矜持を見せる様が描かれている。すごい良かったのは、森達也が裁判の隠し撮りをしようとしているところをブチギレているところ。森達也もかなり「嘘」つくし、エゴイスティックで嫌なところが見えるので、なんか凄く爽快だった。

本作もかなり森達也のドキュメンタリー作家としての自我が染み出している印象。ドキュメンタリーは簡単に言ったらカメラひとつで始められるので、始めるのは簡単なのだ。しかし終わらせるのが本当に難しい。
パリ解放の写真の引用から「i」という一人称単数へのオチ、これまで見た森達也作品の中でもだいぶ強引な落とし方。
なので、終わり方は微妙である。

しかしジャーナリストのあるべき姿を映した作品としては意義深く面白かった。
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