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i-新聞記者ドキュメント-のlpのレビュー・感想・評価

4.0
東京国際映画祭にて鑑賞。

日本映画スプラッシュ7本目は、何とあの森達也監督の最新作!この一言だけで、他にもう観る理由は要らない!『i-新聞記者ドキュメント-』。
ドキュメンタリーは客観的な事実の記録ではなく、多かれ少なかれ作り手の主観や作為が含まれてしまう・・・という認識を持ち、さらにはその特性と観客の「ドキュメンタリー」=「真実」と信じてしまう思い込みのギャップを逆手に取った『FAKE』という大傑作まで産み出してしまう森達也監督。監督のこれまでの実績を鑑みても、今年の日本映画スプラッシュの目玉の1つと言っても過言ではない今作。今の日本で最も信頼できるドキュメンタリー作家の1人である監督の最新作とあって、もちろん期待して鑑賞したけれど、期待通りの作品だった!

今年公開された映画『新聞記者』のモデルとなった東京新聞社会部の記者:望月衣塑子に森達也監督が密着するドキュメンタリー。
『新聞記者』は日本映画にしてはタイムリーな事件を題材にした社会派の作品として健闘はしているけれども、まだまだ踏み込みの甘さを感じる映画だった。その点、今回は密着型のドキュメンタリー。しかも監督が森達也監督とあって、踏み込みの深さについては非の打ち所が無かった。「今の日本を切り取っている」という意味においても、他の日本映画スプラッシュの作品に比して抜きん出ており、ドキュメンタリーの強みが感じられる。

作品の中身は、被写体の望月さんが事件の取材を行う様子を映していく。菅官房長官の記者会見の様子も、実際の映像を用いて作品に組み込まれている。
淡々と事象を積み重ねる時間が続き、森達也監督にしては随分とおとなしいなぁ・・・と思っていたら、最後に監督の作家性が暴走!驚きの映像表現と併せて、観客と現在の社会に対するメッセージを叩き込む。森達也監督は今回もまた切れ味が抜群だった。

11月15日に公開予定(今回の東京国際映画祭で上映されたものに、さらに編集を加えたバージョンになるとのこと)なので、気になる方はぜひ。
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