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i-新聞記者ドキュメント-のtetsuのレビュー・感想・評価

4.2
自分の通う大学のイベントで、監督がトークショーに参加していたというのもあり、過去の代表作を観たのち、鑑賞。

東京新聞の記者・望月衣塑子。
映画『新聞記者』の原作者として、現在の日本社会へ大きな問題定義も果たした彼女の生き方に迫るドキュメンタリー。

正直、これまで観た森達也監督作品の中では一番面白かった。
大衆寄りになったと言われる可能性も孕んでいるのかもしれないが、これまで観た作品の中では最も分かりやすかった。

お恥ずかしながら、日本の社会問題にはかなり疎い自分*ではあるが、そんな人でも分かりやすいよう、解説のテロップを出すなどの工夫がされていたのは、かなり助かった。
*これから、もっと勉強します...。f(・・;)

森友学園問題や普天間基地問題、諸外国から観た日本のマスコミなど、様々なテーマが描かれ、望月さんという以上に彼女から見た視点(=eye)で様々な日本の問題が描かれているのが興味深い。
(また、そんな中で、映画『新聞記者』において望月さんをモデルしたヒロインが、何故、韓国籍のシム・ウンギョンさんなのか、何となく分かる描写があるのも興味深い。)

なにより、撮影対象(=望月さん)、撮影する側(=森監督)のみならず、第三の視点として、もう一人のカメラマンが増えたことで、森さん自身の物語や主張が増えたのは本作の魅力。
これまでの作品では撮影対象をまなざすことが中心となり、敢えて結論を出さないイメージがあったが、今作では明確に監督の主張が登場するので、かなり新鮮だった。

『A』を観ていた人なら少しニヤリとする終盤の意外な演出や4分割映像など、トリッキーな手法には少し違和感も否めないが、『新聞記者』を鑑賞した方、森達也監督作品を鑑賞済の方には必見の一作だった。
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