TAMU

きっと、またあえるのTAMUのネタバレレビュー・内容・結末

きっと、またあえる(2019年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

『きっと、うまくいく』に寄せ気味のタイトル、てことは期待を外さない、と前のめり鑑賞となったが、これは…

何が残念て、良くも悪くもオリジナリティこそボリウッド映画の醍醐味であるはずなのに、本作は明らかに韓国映画『サニー』をモチーフにした今を立て直す型青春振り返りムービー。

前半30分を見た時点で、話の展開が読めてしまい、およそ残りの2時間が退屈となってしまうことに。

最早、インド映画に画質やカメラワーク、編集に至るまで、全く稚拙さを感じることはない。
だからこそ、歌が入るところのブチ上がり感とか、インド固有の差別、偏見、宗教問題とかのオリジナリティを扱って欲しいところ。

察するに、インドのやり手プロデューサーが、サニー見て、こんな感じにしたらウケるのではと脚本書かせたのではないかと邪推するほど安っぽいシナリオ。

思い返せば本作監督の前作『ダンガル』も自分には合わなかったから、そのせいかも。

ぶっちゃけ、受験に失敗した自分に対して感じる”負け犬”と、名門大学のボロい寮生に付けられた通称の”負け犬”では、全く意味合いが違うのでは?
努力てのが、寮対抗のスポーツ大会てのもなんとも言えん。。
そこが、そもそもしっくりこなくて、自分があの息子だったら、「なんの話だよ。。」と生きる気力をさらに失って行くという気がしてならず、話に入り込めず。

昔の仲間たちも全員セレブ感を醸し出しており、難関大学から成功を収めたおじさん達が若い頃のバカ騒ぎを思い出すだけの展開は興味が湧かない。

映画『サニー』は、目の前が全く開けない大人たちが、無制限に世界が広がって見えた甘酸っぱさを振り返るアレがなんとも良かったな、と振り返ってた始末w

そもそもだが、本作のテーマである”負け犬”問題に関して、主人公アニは「負け犬は結果ではなく、その過程で努力をしなかった者に対して言う言葉」みたいな事を言うのだが、その努力がヤジによる妨害や夜中のイタズラ電話を刺すのだとしたら、お話にならない。

ついでに、寮の先輩が、嫌がる新入生に「女子の服をもらってこい」と言うのが、からかいであって、イジメでは無いと言うのも全く解せない。

挙げ句に、男性優位や宗教、格差問題など、ありとあらゆる社会問題に手を付けない。

とまあ、湧き上がる思いから作り上げた映画では無く、上から目線で”面白いもの”を考えた一作である事は間違いない。

と、2時間半のお尻の痛さから、辛口にコメントさせて頂いたが、最後の「ルーザーパーティー」はインド映画らしさが詰まり、極上のカーテンコールと評したくなる素晴らしさ。
コレだけで0.5点ポイント追加♪

あと、ヒロイン、マヤ役のシュラッダー・カプールさんのハレー彗星級の美貌に脱帽。

更に本作では、正確には調べられなかったが、青春時代と現代の演技を全員同じ俳優が務めているようで、そのメイクが素晴らしい。

最後に、主演のアニを演じたスシャント,シン・ラージブートさん。『p.k』にも出てたが、ベビーヘェイスが印象的。映画鑑賞後、色々調べている過程で、先日、自殺してしまったと知り、なんとも残念。
心からご冥福をお祈りします。
TAMU

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