えにし

MONOS 猿と呼ばれし者たちのえにしのレビュー・感想・評価

MONOS 猿と呼ばれし者たち(2019年製作の映画)
1.9
いくらなんでも語らな過ぎなんじゃないか。説明を極端に削ぎ落として鑑賞者の想像に委ねるつくりと言ってしまえば聞こえはいいけれど、「スケールのデカい自然を綺麗に撮って人間が仲間割れしていく様子を見せればみんな勝手に「人間は自然に勝てない」とか「大人と子どものはざまの葛藤」とか拡大解釈してくれるやろ!せや!過去の名作のオマージュも添えて…ええやんええやん!なんかめちゃ意味深になったやん!」と作り手の側の甘えが聞こえてきてしまった。俺には。作品の独自性を深めるにはディテールを彫り込むことが大事だと思うけれど、その彫り込みがテキトーだから監督が表現したい主題がぜんぜん見えてこない。そんでそのディテールをオマージュに頼ってるから新規性がない。逆に服に関してはもうちょっとディテールを詰めた方がいい。雲が真横に見えるような高地に居を構えていながら、チャックやらボタンやらがついた洋服着てんのは高度な文明を感じずにはいられない。時も、場所も、定かではない世界のどこか——ってあらすじでは言ってるけど、少なくとも時についてはだいぶ絞れちゃうだろ。おそらく売りにしてるであろうミステリアスな雰囲気が、そういうディテールの甘さで損なわれるから気を遣った方がいい。しろうとが偉そうなことを言っているかもしれないけど、しろうとだからこそ言えることだってあるだろ。
総括、あらすじ以上に得られるものはないと思った。
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