綾鷹

リアム・ギャラガー:アズ・イット・ワズの綾鷹のレビュー・感想・評価

3.5

“宇宙飛行士にも潜水士にも花屋にもなりたくない、歌えなきゃ狂ってしまう”

歳をとってからの「今の」リアムにフォーカスした作品は見たことがなかったので、すごく新鮮で面白かった。
(VOGUEの2019 73questionsインタビューのやつはステージ用のキャラ作りっぽかったが、本作はナチュラルな側面にフォーカスされてる気がした)

ヤンチャな問題児が世界最高峰のバンドで音楽を続けられなくなりながらも歩み続けた道程は決して楽な道ではなかったと思うし、輝かしいスターロードからの脱線は想像し難いものがあるが、「今のリアム」は不器用ながらも挫折を味わいそれでも前に進もうと努力している姿に痺れてしまった。
(サマソニ前にoasis後のプロセスを深く知れたのは良かった…)

曲を作る天才の兄が近くを離れ、一生続けると思っていたoasisを続けられなくなり、解散と併せて離婚を絡めた私生活の荒れとが合間ってボロボロになりながらも、どうしてもやりたいロックンロールを続けるために、足掻き模索し、自分と環境を見つめ直す姿勢に、自分がよく知るリアムのそれとは違う姿に良い意味で裏切られた。


“自分の面倒は自分でみろよ”


復活劇を遂げた大観衆の面前で、最後吐きつけて去るリアムのセリフは涙モノで激アツだった。

“私生活には後悔がある。
アホな言動のせいでハマらなくていい状況に自分を追い込み後始末に追われた。”

クソな夫で子供達にも悪い影響を与えた。
時々自分のクソぶりと向き合わないといけないと。

“俺は周りに恵まれている”

人は歳をとるといろんな経験をすることで視野が多角的になり、結果として丸くなるとよく言われることだが、リアムも例外ではなく、色んなことがトントンとうまくいきます調子に乗っていた若い頃を反芻して今に繋げている姿勢に好感がすごく持てた。


紆余曲折を経て成長した弟と兄がまた揃ってoasisが見れたらそれはもう…
よくある妄想に耽るまでがワンパッケージ。
綾鷹

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