とらキチ

シャイニング 北米公開版のとらキチのレビュー・感想・評価

シャイニング 北米公開版(1980年製作の映画)
4.5
「午前十時の映画祭11」にて鑑賞。
うだるような暑さが続く中、真冬のオーバールック・ホテルでも観て、涼を取ろうかと…
続編である「ドクタースリープ」を観た身からすると、今作のダニーの“シャイニング”能力なんて無きに等しいし、その“シャイニング”の持ち主でダニーの唯一の理解者であるはずのハロランは見せ場もなくあっさり殺されてしまうし…で、そりゃあスティーヴン・キングもブチ切れて、今に至るまでずっと今作に文句を言い続けるのもよくわかる。でも、そこを置いておいても、“オーバールック・ホテル”に徐々に取り込まれていく様子を見事に演じきったジャック・ニコルソンは凄すぎる!あのクルクルと自在に変わる表情!あの顔芸は名人の域!それだけに原作の「シャイニング」の妙味を完全に無視したのが、より惜しくなる。あれでは“シャイニング”の持ち主ダニーの父親たるジャックに救いが無さすぎる。
それにしても当時6歳にして、あれだけのお芝居をやってのけたダニーも凄い。あの表情とか、どんな指示を受ければ出来るのか?大人でもなかなか難しい。
現代ではドローンもあって、比較的簡単に撮れるけど、あのオープニングのオーバールック・ホテルへ向かうロッキーの雄大な遠景の滑らかな空撮は、当時としては特筆モノ。それにシンメトリーな構図、開発されたばかりのステディカムを駆使したトラックショットはやっぱり素晴らしい。だけど、あれだけ完璧主義でいろいろとこだわるというキューブリックだが、劇中のタイトルとかのテロップのフォントがとても普通だったのが改めて気になった。あれは当時そこまで自由にいじれなかったのか?
基本、今作のホラーたる部分は、あのオドロオドロしい劇伴に由来しているのが大半であったと思うが、何よりもホラーだったのは、あのお母さんの顔!アレが何よりも怖かった!😱
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