みーちゃん

シャイニング 北米公開版のみーちゃんのレビュー・感想・評価

シャイニング 北米公開版(1980年製作の映画)
4.3
午前十時の映画祭にて、娘と。
119分のコンチネンタル版は過去に何度か観たけれど、北米公開版は初めてなので楽しみだった。私は断然こっちの方が良い。かなり印象が変わった。

おそらく119分版には、序盤ダニーが自宅で診察を受けるシーンが無いのだが、これはとても重要だと思う。トランス家の土台となるジャックとウェンディの人となりや、内在していた問題が浮き彫りになった。そしてトニーの存在をよく理解することができ、私は泣きそうになった。且つ医者がウェンディにヒアリングする場面は、家庭という密室に、第三者の視点を観客に与える貴重な機会だった。

この前段とオーバールック・ホテルの因縁が一本の線で繋がり、119分版では満たされなかったピースが埋まった。

それと同時に、ジャックが利己的なDV夫で、作家としての才能も無いことは前から知っていたけれど、それ以上にウェンディのことが大嫌いになった。夫を立てるという名目のもと、いつも他責で主体性がなく、世間体重視で子供の人権意識が低い。始終泣いているのも自分が可哀想な被害者意識で腹立たしい(しっかりしろ!と何度も心の中で叫んだ)。

しかもジャックが斧を持っていると分かっているのに、あんな弱っちいナイフしか枕元に置いていない危機感の無さ。少なくともダニーと2人分の防寒服はいつでも着れるように準備してから寝てほしい。って言うか、あの夜に、あんなにぐっすり眠れること自体、ウェンディらしくて嫌になる(つまり、そう感じさせる演出が上手いという意味です)。

結末は覚えていたから、ウェンディが、いつ、どのように変容するんだっけ?と注目したが、あくまでもダニー君の勇気と機転であり、凍死は偶発的なものだったのか!

鑑賞後に感じたのは、そんなウェンディが結果的に自分とダニー君の命を守り抜いたこと。研ぎ澄まされた映像と相まって、とても興味深かった。