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シャイニング 北米公開版のBenitoのレビュー・感想・評価

シャイニング 北米公開版(1980年製作の映画)
4.8
【 サイコロジカルホラー映画の最高峰 】

「シャイニング」北米公開143分バージョンを劇場(午前十時の映画祭_2021年)にて鑑賞を、今やっとレビュー。

サイコロジカルホラー映画について :
原作は読んでいないので、原作者キングが気に入らなかったとしても、純粋にキューブリックの作品として好きな映画。サイコロジカルホラー映画といえば「ミザリー」とか黒沢清の「CURE」とかも好き。ただ、「シャイニング」続編のサイキック大戦的な「ドクター・スリープ」は全く好きにはなれなかった、、

オープニングの空撮 :
「ブレードランナー」のオリジナル劇場公開版のエンディングで山岳を捉えた空撮シーンは「シャイニング」のオープニングでジャック・ニコルソンが運転するワーゲンを空撮した際、没になったカットから流用したというエピソードは映画ファンには有名なお話。つまりはリドリー・スコットがキューブリックに没フィルムを頂戴とお願いしたという事なのか、編集権のあった映画会社(当時ワーナーブラザーズ)が依頼したのか、いずれにしても曰くつきの空撮シーンである事は確か。

ステディカム撮影 :
ホテルの廊下を走る三輪車を追うカメラ、雪上の迷路を歩き回る視点のカメラ、もうこの手ブレなきカメラワークはホント好き。キューブリックの「フルメタルジャケット」の戦場シーンも然り、ステディカムの臨場感って本当に興奮モノの撮影手法。「シャイニング」より少し前から取り入れられてはいたけどステディカム技術の知名度をぐっと上げたことは間違いないと思う。(「ロッキー」のラスト、階段登ってくシーンとかで実は先に使われてたけど)

北米公開版 :
北米公開版にはあってコンチネンタル版にはない最も話題?となったのが骸骨パーティーシーン、個人的にはこれは微妙。あと北米公開版と謳うのは、先住民インディアンからインディアンを虐殺し土地を奪いアメリカを建国したアメリカ人の罪を暗示させるエピソードがしっかり含まれているということらしい。ホテルが建てられる前は、インディアンの墓地だったというのが物語の根底にあるのも怖さを増幅してる、まさにインディアンの呪い。そういう意味でも本作がしっかりそれを描ききっていて、深みがあって通常版(119分)より好き。

<サウンドトラック>
全8曲,LP発売のみ
The Shining - Full ost
 (youtubeで全14曲バージョンも存在)

現代音楽愛好者にはたまらない曲ばかり。「時計じかけのオレンジ」のウェンディ・カルロス、「2001年宇宙の旅」の ジェルジュ・リゲティ、そしてポーランド現代音楽作曲家クシシュトフ・ペンデレツキなど、劇伴としてぴったりな!おどろおどろしさ… そして最後の曲のバンド演奏が更に薄気味悪さを際立たせて存在感大。

A1 Wendy Carlos & Rachel Elkind– Main Title "The Shining"
A2 Wendy Carlos & Rachel Elkind– Rocky Mountains
A3 György Ligeti– Lontano
A4 Béla Bartok*– Music For Strings, Percussion And Celesta

B1 Krzysztof Penderecki– Utrenja (Excerpt)
B2 Krzysztof Penderecki– The Awakening Of Jacob
B3 Krzysztof Penderecki– De Natura Sonoris No. 2
B4 Henry Hall And The Gleneagles Hotel Band– Home
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