エイデン

三大怪獣グルメのエイデンのレビュー・感想・評価

三大怪獣グルメ(2019年製作の映画)
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東京の下町にある寿司屋“寿司正”の1人息子である雄太は、毎年決まって日頃お世話になっている波除神社に寿司ネタを奉納していた
今年は一流の寿司職人である父 昭三が選りすぐったタコとイカとカニを運んでいた雄太だったが、その途中 通行人にぶつかってしまう
雄太が慌てて転がったおかもちを確認すると、何故か寿司ネタは丸ごと消えてしまうのだった
その直後 東京に巨大な怪獣が2匹同時に出現する
その怪獣はタコとイカの姿をしており、激しい戦闘を始めた2体の怪獣により街はパニック状態に
通常兵器も歯が立たないまま、散々 暴れ回って海へと帰った怪獣達は、どうやら雄太が運んでいた寿司ネタが変身したものらしかった
その後 大企業の御曹司である友人 新見の元へと向かった雄太は、彼から怪獣騒ぎは怪獣マニアである雄太が犯人だろうと指摘される
実は雄太は、かつて在籍していた“超理化学研究所”で、生物を巨大化させる新薬“セタップZ”の研究を行っていたのだ
しかし雄太は、寿司ネタやセタップZは盗まれてしまったのだと主張
誤解こそ解けたものの、このままでは管理能力の欠如を理由に罪に問われるだろうと新見は笑う
そしてその言葉通り、雄太は警察に任意同行させられるのだった
ところが予想とは異なり、雄太が連れて行かれた先には政府が怪獣対策に発足した組織“SMAT(シーフード・モンスター・アタック・チーム)”の司令官 響と、防衛省で分析官として働く、密かに思いを寄せていた幼馴染 奈々がいた
事情聴取された雄太はセタップZについて聞かれるも、完成以前に研究費の使い込みでクビになっており、関与はしていなかったと語る
雄太は代わりにセタップZに関しては超理化学研究所の彦馬に聞けと返す
響は彦馬を知っているという奈々をSMATにスカウトするが、それを聞いた雄太も奈々への好意とライバルである彦馬への嫉妬心から自分もSMATに入れるように要請
こうしてSMATの一員となった雄太は、“タッコラ”、“イカラ”と名付けられた怪獣たちと戦うこととなるが、怪獣達の美味さに気付き・・・



変なおバカ映画でお馴染みの河崎実監督が手がけた特撮怪獣映画

怪獣化した寿司ネタに対し、兵器化した酢で立ち向かう人類
そして予想外に美味しかった怪獣を巡る世論を描いたコメディ作品になっている

監督自身が明言してるけど、驚くべきは本作のアイディア基になったのが、1954年の『ゴジラ』以前に円谷英二と犬塚稔が話し合っていた未完の企画らしい
出現した巨大な大ダコに対し“酢鉄砲”なる兵器で立ち向かい、巨大な酢ダコになってしまうオチらしく、ほとんどアイディアを持ってきているのがわかる
水爆実験で蘇った巨大な恐竜が日本を襲うなんてストーリーも荒唐無稽ではあるし、それを素直にコメディとして捉えた作品っていうことなんだろう
いま思えば複雑な話だ
ちなみに以下の犬塚稔監督のインタビューでも詳細が触れられてるぞ
http://www.cercle.co.jp/blogs/?p=411

そんな作品もすっかり河崎実監督の作風に染められ、失笑・苦笑だらけのシュールギャグものに
ただまあ特撮作品への愛は溢れていて、どっかで見たことある人がたくさん出てたり、怪獣の鳴き声聞いたことがあったりもする
謎に彦摩呂とか『孤独のグルメ』の原作者の久住昌之とか出てる
ついでに久住さんは映画の監修までしてる

迫力ある怪獣プロレスやバトルシーンを期待すると滑るし、微笑ましいレベル感のものではあるけど、溢れる特撮愛で何とか乗り切れる
この手のバカ映画好きで特撮作品好きなら気にいる人もいるかもしれないので、しょうもなさを引っくるめて愛してやってほしい
ストーリーの異なる漫画版もあるぞ
エイデン

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