手紙、雪、カメラ、お墓参り、引っ越し‥記号としての岩井俊二を散りばめつつ盤奏から曲に入るタイミング、セリフ、表情、全てが岩井俊二の新作を観ているような作品だった
岩井俊二は良くも悪くも出来過ぎで少し恥ずかしい部類の監督になっている感もあるがやはり岩井俊二はいいな、と思う。
近年の岩井作品に比べ、『ユンヒへ』は上映時間が105分と短く、かつての岩井俊二作品の濃縮さを感じさせた。
小樽に住む韓国人女性のジュン(中村優子)が韓国に住むユンヒに手紙を送ることから物語は始まる。
そのふたりの関係性はやがて明かされるのだがそこは語らなくてもよかったかなと個人的に思った。
が、それこそが韓国映画において重要な部分であり岩井俊二作品ではなく、韓国のイム・デヒョン監督が撮った意味があるのだろう
岩井作品にも感じられる脇役陣の素晴らしさ!
とくにジュンの叔母さんを演じた木野花が素晴らしい。
彼女が口癖のようにつぶやくセリフが、ジュンとユンヒの行方を暗示しているようにも感じられる
岩井俊二作品が大好きな方には間違いなくオススメの作品。
静かにしんしんと降る雪の小樽をロングショットで捉えた「画」がとても美しい。
イム・デジョン監督による岩井俊二へのラブレターは劇中のユンヒのラストの一言に凝縮されているのだろう
すてきな作品でした