「きっとあの時、できることがあったはず」
そんな後悔を抱えて生きている人間に響く物語、なのでは。
私ですか?
とても響きました。
こだわりの映像と多彩なサントラが作品に力強さを生み出していた。
「ミュージカルを超えたプレイリスト・ムービー」
という謳い文句、別に良いのですが、個人的にはポップというか、軽い雰囲気の印象を与えられた。
けれど逆に、本作品のテーマは非常に重いもの。
好感を持ったのは、脚本も、演出も、真摯にそのテーマと向き合っていたこと。
むしろ骨太。
他作品と既視感の生まれやすい勉強での成績ではなく、レスリングというスポーツと向き合っていることで、肉体的にも、精神的にも、父親からのプレッシャーが重く効いていた。
昔ながらのカセットテープにたとえるならA面とB面といったプレイリストでの構成。
A面では兄のタイラーを、B面では妹のエミリーを中心に描かれている。
A面では開放と重圧。
不穏な緊張感が漲ったあの場面では、暗転の中で大きな溜息を吐いた。
B面では贖罪と赦し。
愛が憎しみを溶かすことを願いながら、色彩の光の中へ。
虹色のカーテンが印象的。
欲しくなる。
ちなみに、フロリダが舞台となっていた本作。
A24製作でフロリダを舞台とした映画とは相性が良いのかも。
「ムーンライト」も「フロリダ・プロジェクト」も、それぞれが公開された年での最も好きな作品だったし。
(Filmarksでの平均評価はみんな⭐︎⭐︎⭐︎後半)
「プレイリスト・ムービー」といったお洒落な印象に引っ張られ過ぎてしまうと、残念ながら期待外れだと感じてしまう人もいるかも…と勝手に懸念。
しかしながら、Alabama Shakesの"Sound & Color"が最高な使われ方をしていて、嬉しくなった私。
音と色彩。
まさに、だ。
え、プレイリストですか?
もちろんダウンロードしました。
パンフレットも欲しくなる。