カナヘビ

WAVES/ウェイブスのカナヘビのネタバレレビュー・内容・結末

WAVES/ウェイブス(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

男とは。

僕は最初綺麗な映像に惹かれてお洒落な恋愛映画を見るつもりで見に行きました。
結果としては度肝を抜かれました。重すぎた。

まずこの作品は前半と後半の二部構成になっていると思っていて、前半では主人公のタイラーが自身の怪我や彼女との絡れでどうしようもなくなってしまい、彼女との喧嘩に発展してしまいます。
どんどんヒートアップしていく彼ら、ついにタイラーは手を出してしまいます。レスリングで鍛えられた彼の一撃が彼女に名中。あっけなく命を奪ってしまいます。そんな一瞬の出来事で一人の人生を奪い、タイラーは捕まります。

こんな最悪な展開を迎えたタイラーが人生に影響を与えたのは恋人だけではありませんでした。父親と母親はそれがきっかけで別れることになります。
「あなたの顔を見ると彼を思い出す」印象的な言葉です。父親も黒人が成功するには人よりも多くの努力が必要だという経験から来る心情によりタイラーに厳しくしていたこともあり、責任を感じてしまいます。
そして妹のエミリーは兄のことで学校やSNSで心ない誹謗中傷を受けてしまいます。僕のメンタルももう限界を迎えました。

半ば諦めたような自分を押し殺した生活を送るエミリーにある男が近寄ってきます。
彼の名はルーク。僕はこいつは良いやつなのか?エミリーをいじめるのか?と終始疑いの目を向けてしまい、祈るように見ていたのですが、接していくうちに彼の優しさはエミリーの心を徐々に癒していきます。僕も愛してるよルークとエミリー。

この映画は父親のあり方、彼氏たちの行動など、男目線にフォーカスした映画なんじゃないかなと思います。
正反対とも思える前半と後半ですが、僕は一貫した一つのテーマを感じました。
それは女性を大切にする大切さ。
全編では彼女のことを理解しきれなかったタイラーによって悲劇が起きてしまい、後半ではルークがエミリーを支えます。

どちらの関係が理想かは一目瞭然で、それはもちろんタイラーも頭では理解していたと思います。それでも悲劇が起きてしまった。一歩立ち止まり考えれば良かった。
そんな一歩立ち止まり考える機会をくれるのがこの映画だと思います。
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