Masato

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONEのMasatoのレビュー・感想・評価

4.6

イーサン・ハントの核心に迫る最終作…?

ミッション・インポッシブルシリーズ最終作にして2部作のパート1!と言い張った割にはすでにパート2以降のアイデアが存在するという終わる気がサラサラ無い御長寿スパイアクション。

メイキング等で散々見たトチ狂ったトム様によるノースタントアクションの数々はメイキング先行だからこそ起きるフィクションを超えたハラハラがあり、あえてプロモーションで流しまくってたのは正解だった。それを抜きにしても一難去ってまた一難と波状的にやってくるハラハラ・ドキドキの展開やユーモア溢れるアクションの数々は年々ハードルが上がっていくアクションシーンを軽々と超えてくる。逆にトム様のせいで他のアクション映画がショボく見えてしまう悲しさ。

163分とは思えないほどの濃密さ。アクションはもちろんのこと、前作譲りの敵が多すぎてしっちゃかめっちゃかになるカオス具合や今回のマクガフィンである鍵が秒単位で持ち主がコロコロ変わる忙しなさが頭を混乱させる。スパイ映画らしく複雑で脳を疲れさせるところにトム様の頭悪い系アクションが降りかかるバランスの良さ。この緩急がドラマを退屈にさせない。

また前作ではイーサン・ハントというキャラクターを超えたトム・クルーズという狂気のアクションスターの「なぜそこまで命を懸けるのか?」という究極の謎をアクションをもってして「これが俺の生きがいだ」と言わんばかりのアンサーをしていて面食らったが、今回はイーサン・ハントというキャラクターそのものに焦点を当てていた。

今回の冷酷無比で容赦ない敵は、仲間を必ず見捨てない情に厚いが数々の犠牲を強いられてきたイーサンに選択を迫らせる。彼の仲間・友人への代え難い信頼や愛した女性への愛を揺さぶってくるが、彼はヒーローたる所以を次々と見せていく。今回のミッションの大きな鍵になるのは、イーサンがイーサンでいられるかなのだ。全知全能の頭脳をもってしてでも理解不能な唯一無二のイーサンが真のヒーローであることを証明するデッドレコニング。パート2でどのようなヒーローを見せてくれるのか楽しみで仕方ない。

今回初登場のヘイリー・アトウェルとポム・クレメンティエフは凄まじい存在感で見るものを魅了する。ヘイリー扮するグレースはイルサを彷彿とさせるミステリアスさを持ち合わせながらもユーモアに富んだキャラで良く、ポムは主要キャラを食って掛かるモブでとにかく最高。

例の飛ぶシーン、おそらくLeap of Faithだよね。それとゴースト・プロトコル以来のテクノロジー批判。今ハリウッドでは脚本家組合ではAIによる脚本、俳優組合では俳優の容姿のスキャンをして肖像データを利用したキャスティングなど、最新テクノロジーによる雇用の危機がストの争点となっている。そんななかてCGなど使わずに肉体のみで撮り続けるトム・クルーズ。リアルだからこそ生み出される感動の映像体験を追い求める姿はどこか時事性を感じられた。
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