故ラチェットスタンク

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONEの故ラチェットスタンクのレビュー・感想・評価

3.3
『黒鉄の魚影(サブマリン)』

 しがみつくだけでは飽き足らず乗り込んで操作し始める前作の行くとこまで行った感じの方が好きでしたが、今回も一定の楽しさがあって良かった。

 「乗り物はサイズが小さいほど身体との密着度上がる。殆ど身体と一体なったそれが高速で動くゆえにスリルを感じる。」みたいなロジックがあると思っているー「アイアンマン」のアクションが魅力的なのはここだ。ーのでローマのミニサイズの車を乗り回すシークエンスが見ていて楽しかった。カーブを執拗に映すあけすけさ。かなり強めに摩擦がかかるため曲がるたびに危機一髪である。基礎的な移動で常に危機が発生するそれはスパイダーマンの振り子運動に近い。非常に映画的で良い。

 あとはシリーズがどうたら、キャラクターが云々、AIがあーだこーだ、パターン化とマンネリ化などなど、やたらと繋がりを意識し「長年の歴史ガー」と総括をしたがるので「ん?MIってそう言うことだったっけ?」と思ってしまった。劇場初体験MIが2018年の「フォールアウト」なもので、150分で全てを語り切った前作と比べてしまうのは申し訳ないが、何だか今回は楽しめなかった。あれもあれで生真面目で複雑なのだが、そもそもはショーン・ハリスとカヴィル先生(上腕二頭筋装填で草です。)のカリスマ性で牽引し続けてくれたので軸を失うことは無かった。が、今回は実態のない「それ」とやらをどうするかが軸なので話がぶっちゃけ掴みづらい。なのでオモチャみたいなちっこい車乗り回して変なはしゃぎ方してるとか、そう言うシーンの方が印象的だった。(ガブリエル何某もプロットデバイスにしか思えず。)

 あと6まではちゃんとアクションとか謎解きの大喜利が楽しかったのに今回はなんだか出涸らし…。核爆弾のくだりもバイクで危険なとこを疾走するくだりも「見なかったっけこれ?」と思ってしまう。おまけにスル/スラれるを100回ぐらい繰り返すので更に出涸らしになる。真面目な顔してオモチャを取り合う大人たちはとても微笑ましいが、もう少しバリエーションが欲しい。イルサのくだりはあれで良かったのかと少し思うし、あのあたりのアクション、というか通路の挟撃がぶっちゃけ見辛かった。

 メタ的な考察を進めて「俺たちは影に生きる」みたいな(「漆黒のスネークアイズ」?)こと言い出すのは良いのですが、ぶっちゃけ「007」と被ってしまっている気がするし、何より今作の「アルゴリズムの既定路線に立ち向かえ!」は先月の「アクロス〜」と被ってしまうし…まあ何だかそういう時代なんですかね。次も観るけど、M:Iシリーズで(オリジナリティを失ってまで)こんな俯瞰的なことしなくていい気がするな…というのが率直な印象。

 列車のくだりは楽しくて良かった。ポムさんの扱いがよー分からんけど。

 シリーズとしてはうろ覚えだけど
6≧5=4=3=2>1=7だと思う。ワーストとかわざわざ言わないけど結果としては下の方のポジション。クオリティよりは「景気良くやってよ!」が私の中では勝ってるのでジョン・ウーがやり過ぎてた2の方が好きかなぁ。見直したら変わるかもだけど、見直すほどこのシリーズ愛してないので放置しとこうと思う。年一ぐらいで良いアクションシーンは見直すと思うけど。