ティンク

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONEのティンクのレビュー・感想・評価

4.0
「貴方が観たいのは、『スパイ大作戦』? それとも『ミッション・インポッシブル』?」


かつて『スパイ大作戦』というテレビシリーズがありました。とても面白かったんですが、映画化された第一作では、主演がトム・クルーズ、そしてチームリーダーの「フェルプス君」が悪役で退場となり、『スパイ大作戦』は『ミッション・インポッシブル』となりました。
(映画化の際、フェルプス役にテレビ版のピーター・グレイブスにオファーがあったものの、脚本を読んで断ったそうです。むべなるかなです)

テレビの『スパイ大作戦』って、初期には必ずリーダーがチームメンバーを選んでいくシーンがあった通り、チームワークで不可能な指令をこなしていくことが最大の醍醐味でした。だけど映画化第一作の『ミッション・インポッシブル』では、トム・クルーズのアクションを見せるのが最大の目的に変容しました。なので、それ以降『ミッション・インポッシブル』=トムクルーズ祭りです。(まぁ彼が製作者でもありますからね) 作品を重ねる毎に段々と、注目点が、どんなアクションシーンなのかというよりも、どんな危険なスタントなのかって変わってきてますね。

そんな背景の本作ですが色んな映画の引用があって楽しいです。「大脱走」っぽいバイクシーンなんか、オレが現代のスティーブマックイーンだと言っているようです。
そう、様々なアクションシーンもどこかで見たことあるようなシーンなんだけど、今まで見たことないレベルで見せてくれるんですよね。
機関車が落ちるのってあの時間モノの3作目で見たよなーとか、そもそも列車切り離して先頭の方だけ橋から落ちるってアノ映画であったよねとか。ぶら下がった車両からの脱出って、あの恐竜の2作目で見た感じがする。
何より黄色のFIAT500でカーチェイスといったらねもう。(監督否定してるらいしいけど)ホントに転がり落ちても平気って、ほぼアニメでしょ。
そしてメイキングまでばっちり公開している崖からのバイクジャンプスタント。現代だからこそあれだけ安全対策が考えられているとしたら、「007」の私が愛したあの作品での崖からのジャンプ(もちろんロジャームーアではないけど)、40年以上前にどんだけ危険なことしてたんだろ。

こんだけすごいアクションシーンを繰り返すので、作品はアクション→ひたすらセリフで状況説明→アクション→状況説明→アクションみたいになってますね。その状況説明が、私の理解力が低いのか、字幕の某女史の訳が悪いのか、全く良くわからない。全世界に広がっていくAIなのに、止めるのになぜあの潜水艦に行かなくちゃいけないの? そもそも開発してたのは? ガ〇〇〇〇はなぜそれを知った。
ネット上でAIが暴走していく現代の恐怖と、リアルアクションを成立させる実物の「鍵」を争奪するアクション、融合させるのってホント難しい時代になってしまったんだと感じました。


個人的には、今の時代なら、プーチン的な悪役を完膚なきまでたたきのめす、スパイチーム全員がそれぞれ大活躍する『スパイ大作戦』も観てみたいですけどねー。
ティンク

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