ひのらんげ

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONEのひのらんげのレビュー・感想・評価

4.5
”Less is more”くそくらえな、まるで「'トム'とジェリー」のリメイク。

トム・クルーズこと IMFのエージェント、イーサン・ハント(書き間違えてません)にまたまた、またまた課せられる遂行不可能ミッション。はてさて今度はどんな”お使い”になるのか。

本来冷徹であるべきその工作員は、過去の記憶に引きずられ、美女どちらかの選択に動転し、「僕の命より君の命が重要だ」と(おそらく皆に)いう。超人的な運動能力、超人的な思考回路、下町のおじさんのような信じがたい人間臭さ。

大きなしがらみから、しょうもないしがらみ、大小さまざまなしがらみでもみくちゃになりながら、仲間と人類(私たちのことです!)のために命を懸け、何度も何度も危機に直面し、奇跡を起こし、最終的にバイクで崖からダイブする。

ーーー
いやぁーすごい。(語彙)

追いかけるほうも逃げるほうも間抜けだし(真顔だからなおさらウケる)とにかく常に都合がよく、そして同時に常に都合がわるい。桁外れの莫大な予算を費やした「トム」とジェリーのリメイク版のようです。

いやいやこのパターン見たことありますから、っていう私の意識をぶっ飛ばして、次々に超えてくるパワー。きっとトム・クルーズの「やりたいこと断片リスト」がまずあって、それを実現する方法をみんなで考えて個別に実現し、最後にストーリーを味付け程度に考えて無理やりつなげる、、、って順番で作ってるじゃないか。
前からそうかもしれないけど、このメソッドはテンプレートをなぞるような作業のようにも思いますが、そのテンプレートがそもそも常識外れだから、もはやテンプレートとは言えないとも思う。

「よし!だいぶ長くなっちゃったから、これパート1ってことにして、後半は別にしよう!」ってトムが言い出して、周りの皆が目をまんまるにしている会議が見に浮かびます。

映像、一つ一つのシーン、総合的な印象に対する感想・印象というか、トムを筆頭に現実世界でこの映画を作っているという事実をひっくるめて「マジかよ、、」「もしかして金持ちのバカが集まって作った?」を贈ります。これは私が可能な最大の賛辞です。

ーーー
劇中では「よし、いったん落ち着こう」というシーンがしばしば挟まり、物語をが整理され、次をにおわせ、そして(必ず)その上をいくアクションとなる。

トム・クルーズが出かける前に作戦会議したって、絶対その通りにならないから(笑)このシーンは無駄なように見えて(良い意味で)幼稚なフリがとても気持ちいい。世の中に絶対はないけど、これは絶対といえる。このお約束は楽しい。マジで楽しい!

空港のシーンで、トムが「考えろ!動くな!」っていうのは、トップガン・マーヴェリックのパロディーなのかな?と思って、くすっとしてしまいましたが、そもそもトム。トムさん。あんたがそれ言うか?っていう意味でも笑えました。

ーーー
AIに対抗するためにアナログを導入することについて、これはトム・クルーズの意見が色濃く反映されていると思う。
今日び古典的な物理鍵ってなんだよ、みたいに一瞬思うけど、その辺のエンタメ視点のバランス感覚。この感覚が素晴らしいので、彼は人気があるんだと思います。私も好きです。

ーーー
この映画の中では、小さい核となる出来事がいくつも発生して、それぞれ順番にデコレーションされて雪だるま式に大きくなります。核を中心としたその事象の塊は飽和し、私たちを満足させ、そしてあっさりと窓から捨てられます。
潔いその一つ一つの塊は「もっと詰め込め!もっとだ!もっと詰め込め!」という創意のかたまりで、魂が込められた重くて小さく強く、まぶしいモノです。

”それ” は、すなわち ”エンティティー” なのではないでしょうか。私はそう思います。

ーーー
この作品でも、トムの全速力が数回見れますよ。
ひのらんげ

ひのらんげ