友二朗

コリーニ事件の友二朗のレビュー・感想・評価

コリーニ事件(2019年製作の映画)
3.9
「欲しいのは正義だけだ」

突き抜ける余韻。
終盤は画面にのめり込みすぎて観た後の自分は正に"我に帰る"という表現が当てはまった。

報復措置とドレーアー法。
あまりの展開構築に言葉を失う。
状況、情報その一つ一つにコロコロと立場を変えられてしまう自分。社会や歴史の流動性の一部は自分自身であるという痛烈な真実を叩きつけられた。

登場人物のレッテルに善悪は微塵も感じず、確かにそこに存在している一人の人間。台詞や言動の至る所まで良い意味で容赦なく、非常に評価できる。

映像が素晴らしい。
綺麗で構図が美しいだけでなく、回想シーンとの繋ぎが完璧だった。裁判所中央階段の半ば、主人公が振り返り辺りを見下ろす。このカットはその意味を考えることを放棄してしまうほどに美しかった。

少年の日の思い出と交差する壮大な歴史、そして事件。法廷作品を創作に委ねる意味をここまで感じたことはなかったし、何より抜群に面白かった。

タバコ吸いたくなる。

観て良かったです。
読んでくれてありがとう。

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「僕は弁護士だ
 医者と同じだ
 殺人鬼でも助ける」

「会っておいた方がいい
 永遠にいる訳じゃない」
刺さる。父親に会いたい。

「軽い"故殺"の線は消えました」
凄い台詞やな

「何もするな
 表に出すな」

「時は昔に戻せない」

「10体1の報復措置」

「強くなる練習だよ」
友二朗

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