うみぼうず

コリーニ事件のうみぼうずのレビュー・感想・評価

コリーニ事件(2019年製作の映画)
4.0
数ある法廷サスペンスの中でもかなりの重厚感とドラマ性でとてもおもしろかった。コリーニが黙秘するから尚更 静かな展開ながら、事前にレビューなど見ていなかったおかげで新鮮な気持ちで感情移入して観れたこともよかった。喫煙シーンがこれほど嬉しいことはない。
大学で刑法や法医学も少し学んだので、司法解剖の様子は興味深い。

法廷ものの見どころは お互いが正義であると主張していく中で糸のほつれを見つけ出すような情報戦と相手を揺さぶる心理戦で、どちらも本作はしっかり脚本が練られている。
実際の弁護士でもある原作者が「自分よりいい脚本じゃん!」と絶賛するくらいなので緻密であり、ラストに向けて中盤以降の展開は引き込まれる。だからこそ、ラストシーンは予測はできるけど感動的。
裁判で論理的に詰めていく様は気持ち良いが、少し整理しながら観た方が内容が入ってきやすいかも。

ドイツやイタリアの建物ってアメリカやフランスと違って重々しい感じがするのはなぜだろうか。建物や道路などの雰囲気も相まって少し堅苦しさを覚えるくらい。映画全体の雰囲気とは合致している。

敵役がわかりやすい悪役風であるのは少しもったいない気も。途中で少しブレてしまい軽くなってしまった感があるかな。「ケバブ屋でもやってろ」って…。
あとこれだけ大物の殺人事件であればもっとメディア取材殺到しても良さそうだけどな〜。

全体的にはもうちょい短く出来そうな気もする。最後まで謎だったのはボクシングのシーンかな。あれは要るのか…?
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