これは短なる法廷サスペンスでは終わらない。
トルコ系ドイツ人の新米弁護士ライネン。夢と希望に満ち、正義感に溢れている。
国選弁護人に任命され、初めての被告人は67才のイタリア移民のドイツ人コリーニ。
被害者は高齢の大物実業家マイヤー。
実はライネンの恩人だったという。戸惑いながらも弁護を続けるライネン。
犯人の動機は何か。
沈黙を守るコリーニに為す術もないライネンだったが、手がかりを求めてコリーニの生まれ故郷のイタリアに向かう。
調べを続けるうちに、ナチスドイツの蛮行を知ることに。
コリーニの動機を突き止めるが、
ただ物語はそこでは終わらない。
更なる闇が待ち受けていた。
そして法の歪みが明らかになっていく。
遺族側の弁護士マッティンガーはライネンの師でもある。
マッティンガーとナチスに加担したものを守るドレーアー法について対峙する。
戦犯者が我が物顔で、権力や財力を身につけ、のうのうと生きている世の中を産んだのは何故なのか?
正義感をもって法の世界へ進んできたであろうに、なぜ多くの人間は初心を貫けなくなってしまうのだろうか?
モヤモヤした気持ちでいっぱいになる。
ラストも予測はしたものの、釈然としないまま映画は終わる。
それでも多くの人にこの法律を知ってもらえた意義は大きい。