たま

コリーニ事件のたまのレビュー・感想・評価

コリーニ事件(2019年製作の映画)
4.5
これは短なる法廷サスペンスでは終わらない。

トルコ系ドイツ人の新米弁護士ライネン。夢と希望に満ち、正義感に溢れている。

国選弁護人に任命され、初めての被告人は67才のイタリア移民のドイツ人コリーニ。
被害者は高齢の大物実業家マイヤー。
実はライネンの恩人だったという。戸惑いながらも弁護を続けるライネン。

犯人の動機は何か。
沈黙を守るコリーニに為す術もないライネンだったが、手がかりを求めてコリーニの生まれ故郷のイタリアに向かう。

調べを続けるうちに、ナチスドイツの蛮行を知ることに。

コリーニの動機を突き止めるが、
ただ物語はそこでは終わらない。

更なる闇が待ち受けていた。
そして法の歪みが明らかになっていく。

遺族側の弁護士マッティンガーはライネンの師でもある。
マッティンガーとナチスに加担したものを守るドレーアー法について対峙する。

戦犯者が我が物顔で、権力や財力を身につけ、のうのうと生きている世の中を産んだのは何故なのか?

正義感をもって法の世界へ進んできたであろうに、なぜ多くの人間は初心を貫けなくなってしまうのだろうか?

モヤモヤした気持ちでいっぱいになる。
ラストも予測はしたものの、釈然としないまま映画は終わる。

それでも多くの人にこの法律を知ってもらえた意義は大きい。
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