よーだ育休中

ナンシー・ドリューと秘密の階段のよーだ育休中のレビュー・感想・評価

3.0
母親を亡くした高校生の少女は、父親と共に田舎町リバーハイツへと引越す。正義感と好奇心が強い彼女は、母親譲りの洞察力と父親譲りの論理的思考力を駆使して《自宅の心霊現象》に悩まされる女性を助けようと名乗り出る。


◆ 児童向け文学作品を映像化

少女探偵Nancy Drewの活躍を描いた合衆国の児童向け推理小説を映像化した作品。今作の他にも多くの作品が刊行されている人気シリーズの様です。母を亡くした父子家庭で住み慣れた都会を離れて地方都市へと移り住んだ彼女は、それでも明るく前向き。弁護士の父親は優しく、近くに住む叔母とも良好な関係を築いています。

忖度無しのざっくばらんな物言いですが、彼女の言動は彼女なりの正義に基づいたものであり非常に魅力的。町の年配保安官や、アメフト部の人気者を相手にしても「おかしい事はおかしい!」とズバリ切り込む様は痛快。人気シリーズの主人公に相応しいキャラ造形です。


鉄道が通っておらず交通の便が悪い田舎町リバーハイツ。線路を敷設するためには歴史的な建築物を潰さなければならず、町民の間でも鉄道誘致に関して意見が割れていました。

田舎町であるがゆえに町の権力者が持つ影響力が大きく、年配の保安官も全くアテにならない。スクールカーストについても触れられていて、一見のどかな田舎町が舞台でありながらもチラチラと不穏な要素が見え隠れしています。雰囲気作りはお上手でした。

ポルターガイスト現象や幽霊騒動など事故物件がテーマとなっていました。超自然的な心霊現象かと思いきや、鋭い洞察力と合理的な思考回路で超常現象のカラクリを解き明かしてしまいます。ファンタジーやスーパーナチュラルなのだと思いきや、よもやなカラクリが。ちょっと無理があるところもケミカルで強引に理由付けしているのはご愛嬌。


◆ キラキラしたSophia Lillisが可愛い

2017年に映像化されたStephen King原作のホラー作品『IT』において、主要メンバーの一人を演じたSophia Lillisが今作の主人公を演じています。

︎︎︎︎☑︎ 合衆国の閉鎖的な田舎町
︎︎︎︎︎︎☑︎ 母親を亡くした父子家庭
︎︎︎︎︎︎☑︎ ショートカットのS.Lillis

血みどろ作品『IT』とかぶる背景が見受けられましたが、同作に登場する少年少女たちのようにベリーハードモードな思春期ではありせん。原作が推理モノなのでミステリ要素こそありましたが、最後までホッコリほのぼのとした作品でした。

何より、お父さんが娘想いの良いパパで本当によかった。スケボーでトリックをキメながら始まるオープニングを観て「同じ父子家庭でもこんなに伸び伸びしているなんて、抑圧しない親っていうのは子供にとってめちゃくちゃ大きいな」などと勝手に比較してしまいました。明るくて友達想いな優しいS.Lillisちゃんがニコニコしていて本当に良かった。