東かほり監督の上映時間25分の短編映画は、様々な形でタッグを組んでいる宇乃うめのさんをヒロインに、人生の節目を迎えた人々の奮闘を温かくコミカルに描いていく。
牛乳配達員をしているサナ子は人生に迷いを感じている。
それは29歳になって、結婚している訳でも、恋人がいる訳でもなく、かといって仕事に夢を持っている訳でもない。
何となく田舎町で日々が過ぎていく現状で良いのか、このままおばちゃんになっていって良いのかと思っている。
そんな思いを抱いていた或る日、ひょんな理由から廃業が決まった銭湯で働くことになる。
そして廃業3日前、常連客との交流で或ることを思いつき、彼ら彼女らに手伝ってもらいながら最後に一花咲かせるイベントを開催する。
東京の下町で生まれ育った私は、幼い頃から近くの銭湯に通っていたので、映画に登場する銭湯の様々な風景に懐かしさを覚え、湯上りに飲んだコーヒー牛乳やフルーツ牛乳の味が蘇ってくる。
ドラマチックなことが起きることもなく、サナ子に大きな変化や成長がある訳ではないが、不器用で内気な彼女が人生に前向きになれたようなラストが爽やかな印象を残します。
