キックん

水と砂糖のようにのキックんのレビュー・感想・評価

水と砂糖のように(2016年製作の映画)
4.1
良かった。
そして、とうの昔に完全に失っていた映像制作への情熱を沸々と蘇らせる映画でもあった。

さて、そもそもこの映画を全然知らなかった。
この映画を知ったのは、まさにFIlmarksからのプッシュだった。Fan!した人の映画が・・と。
その映画の概要を見てみると、ケンローチにヴィムヴェンダース、べナルトベルトリッチにウッディアレンという名だたる監督たちがキャストではないか!名監督らがキャスト!?
こんな映画気にならない訳がない。
そしてマーク!しておいた。
その時はどういう映画かは全くわかっていなかったが。
そしてマークしたままで時は過ぎ、今度は上映中のプッシュが来たではないか!
改めてよく見てみると、撮影監督カルロディパルマの話。
撮影監督?それは一時は映像を志し、映像業界にいたものにとっては、存在もその重要性も知ってはいた。だが、監督の名前は知っていても、固有の撮影監督なんて誰一人知らなかった。それは、俳優の名前を一切覚えていないのと同じであるようで違う。

ちゃんと調べて概要を見てみると、私が学生の頃からほぼ不動のマイベストフィルムであるあの”Blow-up”(欲望)の撮影監督ではないか!
これは見ない訳にはいかない。
そして最終日の昨日の夜観てきた。
こんな映画、一部のマニアックしか観ないんだろうな。。と思いながら。

全体を通して、彼の才能やこだわりとともに、人格を感じさせる映画であった。

わかるー!と言うことが全編にある。
そう。あの、”Blow-up”はまさにフィルムがモノクロからカラーに変わる時代、物凄くカラー映えを考えた映像であると思っていたし、あの構図も素晴らしい。
だが、芝の話とか相当なこだわりを持ってやったんだろうなとあらためて感心させられる。

そんな中やはり、監督らと空間や色とかをお互いで共有共感していたと言う話が素晴らしいし、羨ましい。そう、なかなか空間とか色とかを共有できる相手は普通にはいないのである。この赤はいいけど、あの赤はダメとか、このブルーは素晴らしいが、このブルーはギリギリ合格ラインだとかって話ができる人はそうそう周りにいない。

一般的に男性に比べて女性のほうが色鮮やかに見えていてやや紫外線域まで見えていると言う話がある。こういう「一般的に男性は・・とか、女性は・・」と言うのは、「女性が地図が読めないのは女性の地位が低い国だけ」というように、擦り込みのジェンダーである可能性があるので注意が必要であるが、色弱色盲と言われた色覚特性の人たちは男性に圧倒的に多いと言うこととか考えると平均的にはそうなんだろうかとは思う。あくまでも平均的には。だがGIの見直しを考えている私の場合は一般的平均的女性よりというかそんなジェンダーはぶっ飛んだ領域にいるので、まあ色とか光とかって気になるのだよ。微妙な差でも。勿論空間的なことも。

そもそも”Blow-up”も、あれをオシャレ映画だとかいかれた映画とか意味不明とか言う残念な人がいるが、まあ感じ方は人によって違うし価値観は人それぞれで仕方がないのであるが、ああいう感覚を共有できる人がいると言うことは素晴らしいことである。

色とはとても興味深いものである。
芸術的観点だけでなく、光としての光学的物理学的な観点、視覚という意味での医学的生物学的観点、文化や伝統に関わるところ特に言語との深い関係など様々である。

話がだいぶ逸れたが、良かったし、映像や空間、色への情熱を再燃させてくれた。
そして見てないカルロの作品を見たくなった。