ネット上で虚勢を張るだけが取り柄の冴えない男が、逃げ場のないデスゲームに巻き込まれていく。
あたま空っぽにさせてくれる愛すべきB級映画。
印象的だったのが、主人公が手に銃を固定され、トイレでの用達しをはじめとしてあらゆる日常動作に四苦八苦する様子。同情はするが、情けない姿に笑えてしまう。そのままならなさは自己を投影しやすく、作品世界への誘導を実にスムーズにしていると思います。
アクションシーンのスタイリッシュさもたいへん凝っている。ライティング、リズム、カメラワークを駆使して非現実的に描写して、残酷さとショッキングさをうまく相殺している。状況の作り方など引け目を感じずに純粋に楽しめる作りが嬉しい。
随所でのカラフルな色使いもまた非現実的な世界観に寄与していて、鑑賞者の気持ちをうまく引き寄せている。
作品通してとにかく緊迫感とコミカルさのバランスがよく、ゲラゲラ笑いつつドキドキできる稀有な作品。