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mellowのmoonのレビュー・感想・評価

mellow(2020年製作の映画)
3.5

mellow

芳醇な 熟成した まろやかな 落ち着いた 豊かで美しい…

そんな意味がある「mellow」という ちょっとオシャレな雰囲気の ちいさな花屋さんを営む 30代半ば?の独身 夏目青年の周りの ちょっと苦くて、ちょっと甘くて、良い香りがするカフェオレのような…作品…だと思った。
ちょっと 引っ掛かる 点を除けば…。(コメント欄にて書きます)

私は花が好きだ。花屋さんをのぞいて 見たことがない花に出会うのが楽しみ。
そして、「mellow」の 和風モダンな一見、花屋?みたいなオシャレな佇まいなら…行ってみたい。でも、「mellow」は店先(外)に花を置く事をせず、磨り硝子格子の戸を閉ざして商売してる。ちょっと 入りにくそう…って思った。でも、ちゃんと常連のお客さんもいて、SNSなどで評判を調べて店を訪ねる人もいたりする。今は、評判さえ良ければ、遠かろうと、閉ざした扉でも開けて入って来る、行ける時代なんだ…と 今更な感慨(笑)

彼女いない夏目が、何故か同時期に二人から好きだと告白される。その一人も別の人から「告白」される。そして また別の人からは手紙で夏目は告白される。その人も亡き父から手紙で…と

「告白」のドラマなんだな…って思った。

「告白」心にある想いや秘密を隠さずに打ち明ける事…

「告白」って、する本人は…勇気も要るだろうし、必死?であるから、当然かもしれないけど、この映画の中の何人かは…凄く自分本位。相手の気持ちは置いといて、自分の気持ちを押し付ける!エゴイスト。

<ここからはネタバレになります。>



映画 始まってすぐ、女子中学生が女子の先輩に「告白」
いきなり「先輩が好きです。付き合ってください」と「mellow」の花束を渡す。
女の子が女の子に憧れる?惚れる?という経験が、一切無い私は、その後の二人の仲良さを見て、この子にとって「付き合う」と「仲良くする」の違いって…何?男女間なら…付き合う段階でキスしたり…?が「付き合う」前提になってたりする…けど。そういうこと?
この子は先輩ヒロミが「女の子」を好きかどうかを 全く無視してる。先輩に好きな人がいるかどうかを 探る事もしない。いきなり「好きです」そりゃ、ダメだよね。でも…それが中学生なのかな😊

でも…、青木夫婦はイカン!イカれてる?!
夏目の気持ちを確かめる前に 夫に別れを切り出す?妻の真理子。夫も その話に疑問を持つも、何故か気持ち悪い程に冷静で…お前を愛してるからお前の好きなように…なんて言うけどさ、なんか変!これって、ダンナの美意識?「こういう愛し方ってかっこいい」みたいなプライド?
CMじゃないけど「そこに愛はあるんかい?!」ってなった(笑)
人の良い夏目も、さすがに その異常さに反論する。タバコも吸いたくなるよ!
でも…木帆に「俺はいいけど、花が可哀想…」には、感心。確かに、真理子のエゴの為に花が利用されただけだから。

ヒロミからの告白に「ありがとう。でもごめんなさい」多分、20歳くらい離れてる中学生。当然の結末。中学生の頃って…私も父親でもおかしくない歳の映画スターや先生に憧れを持ったな…と 懐かしくなった(笑)
優しい夏目の言葉にヒロミも歩み出す。

最後まで、自分の想いを「告白」するシーンが無かった(映画のその後に有りそうだったけど)夏目だけど、木帆がラーメン店を閉じると知って「誰かが悲しむから」と張り紙を勧めたり、閉店の際に客に感謝の意味で渡す薔薇を100本.、熱心に丁寧にこしらえる姿に、木帆への愛を込めている!薔薇の花100本は、まさに夏目の「告白」なんだと思った。エンドロールを観て ますますそう思った。

木帆も夏目が好きなのに、そんな素振りも見せず、黙って留学しようとする。も、夏目に打ち明ける。夏目が何故今留学?と問うと「憧れかな」と。最初、どういう意味?と思ったけど、花への愛と人への優しさ愛情を持った夏目の生き方への憧れなのかな?と思った。自分も何か愛を持てる仕事に付いて、人々を支えたいと、そういう「憧れ」なんだと。



田中圭さんの映画を今年は二本観た。そして再来週も「総理の妻」を観る予定。「ヒノマルソウル」も良かったけど、田中圭さんは「おっさんずラブ」のような人の良い役柄がとても似合う。この夏目にもピッタリだった!

今泉監督は、女優さんを凄く素敵に魅せる方だなと「街の上で」の時も感じたけど、この映画でも思った。

表情が良いというのは、役者さん自身の演技力もあるけど、何より、良さを引き出す監督の演出や現場の雰囲気が重要なんだと最近思う。そして、その表情を確実にcameraで捉える手腕。

ヒロミが「mellow」の花束を見詰める笑顔が、夏目を想って愛しそうで、ハッとする程 可愛かった!この女優さん、この先楽しみです!

真理子を演じたともさかりえさん。
「金田一少年の事件簿」の頃から見てるが、大人になって素晴らしい女優さんになられて、嬉しい。母親役がとても良い!
でも、この真理子、多分、子はいないのだろう。夫に告白するシーンのソファーでの佇まいが、ズルい(笑)
クッションを抱え、膝を折り、体を丸めて、凍えた小動物のよう。
夫からの怒りに備えているようでもあり、夫に甘えているようでもある。浮気したけど、正直な私を赦して…と。
この姿は演出されたモノだと思うが、本当に真理子の性格(狡さ)が出ていて面白い。ともさかりえさんの演技もいい!夏目を見詰める目も恋する人の眼差し。キレイ。
でも、真理子は嫌い(笑)

木帆の岡崎紗絵さん。最近、チラホラドラマなどで見掛ける方だけど、ちょっと地味な印象だった😅のが、この映画では とても魅力的だった!さすが、今泉監督!
演技力もあり、これからも期待出来る女優さんだと思う!表情も豊かで美しい。
特に 閉店間際に来た、老人を見送る表情が なんともいえず良かった!、最後に「親父さんと同じだな…」と言ってくれた父を知ってるという人に食べてもらったという、小さな奇跡?への喜びと 無事やり遂げたという安堵感と、閉店への寂しさ?が入り交じった想いがリアルに感じられた!

夏目の可愛い姪っ子がとても存在感有った。白鳥玉季ちゃん。ドラマで活躍してるのを見ると、本当に姪っ子の成長を見てるようで(笑)
この子役さんは、人を見抜くような鋭さを感じる目をしてる。このサホも、周りの人の想いにとても敏感😊こういう役がとても似合う!素敵な女優さんになってね!

色んな想いが、「告白」を通して描かれたほんのり温かな余韻が残る作品だった。想いを打ち明ける事は、良くも悪くも、人が前に行く為に、必要な事なんだと思った。





※この映画が、お好きな方はコメント欄に書いた私の感じた残念な事を読まないでください。※
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