おむう

mellowのおむうのレビュー・感想・評価

mellow(2020年製作の映画)
4.3
失われたものと未来に花向けを。

作中にはたくさんの失恋が発生するが、その円にいる田中圭演じる夏目の存在が優しく過不足ない言葉を届けてくれる理想の人であった。あれだけモテるのも頷ける。
今泉監督作品に求める劇中会話の心地よいちぐはぐ感も強めで良かった。

価値観や人間関係のズレに巻き込まれる姿が似合う田中圭の役者性よ。
常連客夫婦と理不尽に告白され責められた後に一服して姪に小言言われる一幕の流れが本当に良い。
というか姪との掛け合いが全部人情味が溢れていて好き。

「花が可哀想」と言い放つ場面があったからこそ、岡崎紗絵演じる木帆がラーメン屋を畳む最後の日に客にバラをプレゼントするクライマックスも沁みてくる。
ラストシーン最後の一言まで後味がとても良い映画だった。
雑な中華屋でラーメンを啜りたい。
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