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ジョージア、ワインが生まれたところのhasseのレビュー・感想・評価

3.7
○「このワインは私のだけど、皆のものでもあるの」(ワイン農家さん)

ジョージアにおけるクヴェヴリ(甕)製法を実践しつづけるワイン農家たちを追ったドキュメンタリー。

彼らにとってワインの生産は過去から継承し生まれ変わらせていく文化であり、誇りであり、周りとのコミュニケーションの一部であり、生活に深く根差したものだ。農家それぞれで味が違う。かつてソ連の支配下では、ソ連が国の産業として工場の大量生産を始め、十人十色だった品種をごちゃ混ぜにし、画一的な品種につくりかえてしまった。そういった負の歴史による、過去の伝統との断絶を抱えながらも、農家たちはワイン造りに喜びと誇りを感じながら生業としている。

ワインがかつて染料やインクとして使われていたのは面白い。本当に生活の一部という感じ。
また、ワインの生産の過程にしばしば歌うという行為が結び付いているのも印象的だった。企業によるワインの「生産」とは、農家たちの生活のコンテクストからワインを生成する工程のみを機械的にくりぬいて合理化しただけにすぎない、という印象を強く受けた。
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