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ベスト・キッド3/最後の挑戦のrage30のネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

『ベスト・キッド』シリーズ、第3作。

前半は盆栽店を開く宮城と、ダニエルに嫌がらせをするコブラ会の様子が描かれる。
ダニエルが山奥へ木を採りに行くシーンなど、見せ場も用意されているのだが、あまりにも空手とは関係のない話で「私は一体何を見させられてるのだろう?」と困惑してしまった。
また、山奥まで追跡していくるコブラ会の執着も異常で、失笑を禁じ得ない。

これは前作から抱えている問題だと思うのだが、宮城の「争いを避ける」という思想を守るが故に、ダニエルが戦いの場に立つまでの作劇に手間が掛かる様になってしまっている。
ダニエルを引きずり出す為に、敵側はあの手この手で嫌がらせをしないといけないし、最終的には「偽師匠になる」という、訳の分からない行動にまで出る始末…。

1の時の様に、自分を守る為の戦いくらいは許容すれば良いと思うのだが、そう出来なくなってしまったのは、宮城というキャラクターがあまりにも魅力的なキャラクターになってしまったからかもしれない。
作り手自身が宮城に心酔し、彼を完璧に描こうとするがあまり、他の部分に皺寄せがいってしまった…と。
作品毎にキャラがブレるダニエルに対し、一貫してキャラがブレない宮城を見ると、そう思うのである。

そして、ラストの空手大会。
ほとんど1の焼き増しの様な展開だったが、これは計算?ファンサービスのつもりだったのだろうか?
ただ、焼き増しと言っても、敵側には反則行為への葛藤がないし、ダニエル側も鶴の構え程の必殺技には見えない。
焼き増しどころか、劣化コピーに過ぎないのが実情で、これでは感動出来なくても仕方ないだろう。

3作通して見ても、やっぱり宮城が1番魅力的で、このキャラクターを生み出した事が本作最大の功績と言える。
しかし、彼をリスペクトするあまり、彼の存在が映画にとって十字架になってしまったのは皮肉な話である。
「争いを避ける」という教えは正しいのだが、映画を作る為には争いが必要になってくるという矛盾。
この問題に対する最適解を出せなかった事が、シリーズが失敗した原因ではないだろうか。
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