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Dans le vent(原題)のROYのレビュー・感想・評価

Dans le vent(原題)(1963年製作の映画)
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フランスのファッションを追う

シネマテーク・フランセーズの配信サイト「Henri」にて鑑賞

https://www.cinematheque.fr/henri/film/59144-dans-le-vent-jacques-rozier-1962/

■NOTES
帽子、コート、ブーツ、ケープ......。ジャック・ロジエが現代のフランスのファッション・トレンドを描いた短編ドキュメンタリー『Dans le vent』では、これらのテーマを扱っている。シネマ・ヴェリテの手法とポップ・アートの感覚を融合させ、ヌーヴェルヴァーグの仲間であるウィリー・クラントの美しいモノクロ撮影と伝説の作曲家セルジュ・ゲンズブールの音楽で、わずか数分の間に現代のパリの雰囲気を表現している。この作品は、ヌーヴェルヴァーグの最後の生き残りである監督によるヌーヴェルヴァーグの典型例であり、彼のデビュー作『アデュー・フィリピーヌ』と同年に公開された。

映画のタイトルは“In the Wind”という意味で、フランス語で流行やその時々の物事に使われる言葉だが、ロジエはその精神をエネルギッシュに追いかけている。『ELLE』誌の貴重な社内風景、撮影中の様子、パリの賑やかな街並みなどを切り取り、老若男女、シックなものからみすぼらしいものまで、一般の人々がその時代の服に対する感想を述べている。ゲンスブールのオリジナル曲は、彼がその普及に貢献したイエイエ(yé-yé)・ムーブメントのスタイルで明るくジャジーなリズムを奏で、ロジエは彼の映画ならではの鋭い観察眼と屈託のない若者への惜しみない愛情を注ぎ込んでいる。

ゴダールやピアラに賞賛され、若手監督に刺激を与え続けるロジェは、ヌーヴェルヴァーグの大物監督ほどには注目されてこなかった巨匠である。デビュー作『アデュー・フィリピーヌ』が1962年のカンヌ批評家週間で初公開され、フランソワ・トリュフォーをはじめとする批評家から賞賛されたが、ロジエは1971年の『オルエットの方へ』まで長編映画を製作することはなかった。その後、『トルチュ島の遭難者』(1974年)、『メーヌ・オセアン』(1986年)などの長編作品のほか、いくつかの短編やTVドキュメンタリーも制作している。

https://www.lecinemaclub.com/archives/dans-le-vent/
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