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サルカール 1票の革命のレクのレビュー・感想・評価

サルカール 1票の革命(2018年製作の映画)
4.1
国民の裏側にある社会問題と富を築く政治家。
貧困層を利用し続け選挙で票を売買する政治的不正の裏側を暴いた重厚なポリティカル・ドラマ。
たった1票、その必要性と重みや価値。
国のためにできることは投票することであり日本にも通じる痛烈な社会派メッセージは圧巻。

本作で流れる曲『Oruviral Puratchi』和訳で『指1本の革命』は副題にも繋がる。
世界最大の民主主義国家であるインドでは非識字層にも投票ができるように、写真と名前の横にあるボタンを指で押す機械を使用した投票システムが導入されており、重複しないよう投票後は数日消えないインクが指につけられる。

舞台となるタミルナードゥ州ではDMKとAIADMKという二大政党があり『サルカール 1票の革命』の制作会社Sun PicturesはDMK党派。
劇中では現在のタミルナードゥ州与党であるAIADMK党への批判が縦横に繰り広げられている。
政治的抑圧によってそれまで認められなかったタミル語以外での映画制作、そして政治批判的な内容はこれからのインドを変える可能性がある。
そんなインド政治にとってもインド映画界にとっても重要性を担う素晴らしい作品だ。


2019年には日本でも藤井道人監督作『新聞記者』が小規模ながら公開されました。
原案者、また扱う題材が題材なだけに政治的な側面は強いが、単なるプロパガンダ映画ではなくひとつの人間ドラマとしても素晴らしいので是非。
これを機に日本映画界も変わっていけば良いなと願うばかりである。
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