はちみつ小町

キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱のはちみつ小町のレビュー・感想・評価

4.3
『キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱』(原題:RADIOACTIVE)

わざわざ、みなとみらいまで行って鑑賞。でも、その価値はあった。まず、俳優陣のキュリー夫人が強情で付き合いづらいけれど、信念を持った強い女性であるときちんと描かれている点。最愛の夫であるピエール・キュリーを出会いから意識して、劇場では自分から声をかけるなど、自分から口説いているのに可愛げのない反応をする。そして、ピエールはそんな彼女を愛する。とても素敵なことだと思う。

しかしながら、この映画の最も良い点はキュリー夫人がラジウムを発見したことにより、悲劇が生まれていることをきちんと描いていることだと思う。まさか、広島(リトルボーイ)やチェルノブイリが出てくるとは思わなかった。私は知らなかったが、ネバダ州では「原爆を見よう」という催し物をやっていたらしく(真偽は不明)そんなことも描いていた。脱線するが、この様に事実と羅列させた“実験”は実際に行われていなくても、行われていたかの様な錯覚を起こす。徴用工や従軍慰安婦の問題を抱える日本人だからこそ、そう思うのだが実際はどうなのだろう。戦後70年以上経っても消えることのない悲劇を催し物にしていたという事実は受け入れ難い。

話を映画に戻すと、夫亡き後不倫に走ったことも「女性に快楽を与えるべきではない」と70年代のマドンナが反論しそうな、現代の女性の様な進歩的(?)な考え方の女性だったという一面も面白く拝見した。

結局のところ、ノーベル賞を獲る様な発明や発見は悲劇を引き起こす可能性があり、その整備を行うこともまた文明にあやかって生きている私達が意識していかないといけない義務なのだと感じた。