ほろでぃん

キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱のほろでぃんのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

原題は「Radioactive」
放射能がある、放射性の、という形容詞で、activiteという語感から色々な含意も読み取れる良い題である。
それに比べて邦題のどうでも良さったら無いが、訳しにくいのはまあ仕方ない。

終始ツンケンしているマリ・スクウォドフスカと、そんな彼女に塩対応ばかりされるピエール・キュリーが惹かれ合ってゆく過程が最も気になるところなのに、非常にあっさり結婚してしまった。
明確な資料が無いのかもしれないが、どうせ100%史実の伝記映画は作れないのだから、もっと2人の馴れ初めを丁寧に描いてほしかった。

そんな感じで前半はあまり乗れなかったのだが、夫人の人生にオーバーラップする広島原爆や核実験、チェルノブイリ事故の踏み込んだ表現には考えさせられた。
キュリー夫人と原爆や原発に直接の関係は無い。核分裂が発見される四年前に亡くなっているのだから。しかし彼女が見つけた「放射能」の上に研究者達が少しずつレンガを積んでゆき、作り上げた塔の両端が核兵器と放射線医学であることもまた事実である。
人類は自滅することなく、どこまでその領域を広げられるのか。
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