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キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱のkirinのレビュー・感想・評価

3.8
キュリー夫人の人間らしい人物像が描かれていたのがよかった。
最初は強すぎる性格が鼻についたが、見ているうちに、だからこそ二度もノーベル賞を受賞し、研究に没頭しつつも、2人の娘を立派に育て上げ、研究者として、母としてスーパーウーマンであるのだ、と納得できた。
毅然とした性格のマリを虜にしたピエールも器の大きい素晴らしい人だったと思う。

放射能の人体への有害性が分かって悩んでいた時に研究助手と不倫関係になってしまったことは、強くて聡明なマリと言えど完璧ではない人間らしいところを描いている。

娘のうち長女の方は母の放射性元素の発見に触発されて同じ畑に進み人工放射性元素の発見でノーベル化学賞に至っており、マリも子から考え方を学び視野を広げていき、戦場でのX線診断装置の普及という放射能を役立てることへの尽力が描かれていて、子育ての仕事の偉大さを感じた。

広島やチェルノブイリなど、マリがなくなった後の世に放射能がもたらした後の被害にも触れ、その被害にマリが心を寄せるなど、撮像に芸術性がある。
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