言わずと知れた2度のノーベル賞を受賞したキュリー夫人の半生。
女性の社会的地位が低かった19世紀のフランスで、ポーランド移民でもあった彼女は差別と闘いながら道を開いて行く。
男性ばかりの大学組織、学術界ではやはり夫のピエール・キュリーの存在無くしては認められなかっただろうと思われる。例え夫も認める様に妻のマリの方が優秀で実力があったとしてもだ。
彼女の知的探究心、精神力、行動力、それら全てが一つの大きなエネルギーであって、色々なものに影響を与えていく放射性物質そのものであるような原題" Radioactive"はぴったりだと思う。
キュリー夫人のずっと後の時代のネバダ州での核実験の様子や、広島への原爆投下、チェルノブイリでの原発事故の映像が入っているのは事実はこうやって続いて行くという監督のメッセージであり、それも含めてのRadioactiveなのだろう。
レントゲンの機械を車に積んで戦地に出掛けたこともあったとは。
芯の強い女性の役としてロザムンド・パイクはぴったりだし、後半に少し出てくる娘役のアニャ・テイラー=ジョイも中々だった。