このレビューはネタバレを含みます
火事を起こして捕まっていたアマドールが家に帰ってきて山火事が起きるお話。冒頭のバスのアマドール、そして母ベネディクタとの再会のシーンのカット割りに心を鷲掴みにされました。
牛犬馬の映し方が生命力溢れた美しさで素晴らしかったです。それぞれどうやって撮ったんだろう。山火事もどうやって撮ったんだろう。加えてガリシアの自然の風景がどえらい美しさでした。雨、晴れ、山火事と様相を変えていくそのコントラストがまた美しい。
アマドールはじめ、役のハマり方が凄く素晴らしい配役。消防士のぎこちなさを見るにもしかして本物なんでしょうか。
個人とコミュニティの関係や自然との対峙を描くような内容ながら、物語性は弱い。決して荒唐無稽ではなく、映像の説得力が素晴らしい。
山中での母子の語りや、山火事の最中にアマドールが一切映らなかったことなどは示唆的でした。
素晴らしい撮影と構成力で、一つの舞台の上に色んな要素を矛盾なく積み上げることに成功している傑作でした。