豚肉丸

Nは骰子を振った……の豚肉丸のレビュー・感想・評価

Nは骰子を振った……(1971年製作の映画)
4.0
Nと名乗る男が骰子を振り、断片的な映像がランダムに流れる...というお話

同監督の作品である『エデン、その後』の映像と削除シーン、そしてその時に撮ったであろう映像素材を組み合わせることで『エデン、その後』とは別の映画を再構築させた。映画内でも言及される通りストーリーラインは存在せず、映像をランダムに継ぎ接ぎしたようなものなので映画と言えるかは微妙だが、本来『エデン、その後』で用いられていた映像を別な映像と組み合わせることで、新たな物語の文脈が生まれるのは面白い。
運動が連続している場面を繋げることでその二つの場面には連続性が生まれる。効果音や音楽を用いて二つの場面に物語性を付け足すことによって、一つのシークエンスが出来上がる。

正直言えば本作はこれだけでしかない(僕の読解力が低いだけで、しっかりと見れば新たな物語が出来上がっていたり一つの思想が見つかったりするかもしれない)が、ロブ=グリエらしさを存分に味わうことが出来て面白かった。既存の映画を用いて一つの映画を作る試みは『Just Don't Think I'll Scream』や『Outer Space』などの映画でされているが、そのモチーフとなった映画との繋がりを匂わせながら別作品に仕上げる試みは初めて見た。
けど、本来の映画自体映像の連続性が薄いロブ=グリエ作品だからこそ出来た試みなのかもしれない。
豚肉丸

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