櫻イミト

倫敦の人狼の櫻イミトのレビュー・感想・評価

倫敦の人狼(1935年製作の映画)
3.5
現存最古の狼男映画。ユニバーサルホラーの1本。特殊メイクは「フランケンシュタイン」(1931)などで知られるジャック・ピアス。撮影監督は「ミイラ再生」(1932)でカール・フロイント監督に師事したチャールズ・J・スチューマー。

植物学者グレンドン博士はチベットで珍しい植物マリフェサを発見するが、採取中に狼男に襲われる。その後ロンドンに戻った博士は珍奇植物展覧会を開くが、そのさなかに満月の夜に狼男が人を襲うという連続事件を耳にする。。。

後のユニバーサルホラー「狼男」(1941)よりも面白かった。狼男になってしまった博士の苦悩、”狼憑き”の治療薬となるマリフェサの花を巡る駆け引き、学問に没頭するあまり不仲になる夫人との顛末・・・要素が盛りだくさんで撮っ散らかりそうなところを、要所で登場する狼男のインパクトが芯になりまとめ上げている。終わってみれば全ての要素が布石となっていて満足度が高い。

”満月の夜に変身する”等、以降のあらゆる狼男モノの設定は本作が基本との事。現在、ホラー映画愛好家からは再評価されているが、ポリス・カーロフやベラ・ルゴシといったスターが不在のため一般的には埋もれてしまっている隠れた秀作。
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