エイデン

仮面病棟のエイデンのレビュー・感想・評価

仮面病棟(2020年製作の映画)
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東京、八王子市
医師である速水は、当直のバイトを交代してほしいと大学時代の先輩である小堺に依頼され、古びた療養病院“田所病院”へとやって来る
速水はしばらく前に小堺の妹でもある恋人 洋子を交通事故で亡くしてしまっており、仕事にも完全に復帰できておらず、小堺が気を回してくれたのだった
速水を出迎えた小堺は当直料の高さを羨む理学療法士たちが帰るのを見送り、電子キーで鍵を開けて裏口から院内へと案内する
すると入ってすぐの手術室に、仰々しい錠前が付けられているのを目にする
また階段は封鎖できるように鉄格子が設置されていた
小堺によれば田所病院は元精神科病院であり、その頃の名残だと言う
エレベーターに乗り込んだ小堺は、入院患者がいるのは3、4階だと説明し、4階のナースステーションへ速水を連れて行く
そこにはベテランの東野と、寿退社で今夜が最後の勤務だという看護師という2人の看護師がいた
看護師たちに挨拶を済ませ、小堺の激励に感謝の言葉を返した速水は、小堺を見送ると東野に院内を案内してもらう
患者のほとんどは認知症で寝たきりということもあり、2階の当直室で待機していれば何事もなく朝を迎えるだろうと東野は語る
やがて当直室で休み始めた速水は、血が染み付いたお守りを手に、洋子のことを思い返す
3ヶ月前、ちょうどプロポーズをしようと考えていた速水は、洋子を助手席に乗せて車を運転していたが、突如として飛び出して来たトラックに追突されてしまったのだった
洋子を救急搬送するため近くの田所病院へ運んでもらうよう、そこで働いていた小堺に連絡を取った速水だったが、何故か院長の許可が降りず、別の病院へ搬送中に洋子はお腹の子と共に亡くなってしまったのだ
いつしか眠ってしまっていた速水は、東野からの内線電話で目を覚ます
急患かと考えた速水に対し、何故か東野は入院患者のいない1階へ来てほしいと慌てた様子で頼み込む
不審に思いながらも1階へ降りた速水はそこで、東野と佐々木に見守られながら腹部から血を流す若い女性 瞳の姿があった
驚きながらも傷を確認する速水の前に、今度は加工された声で話すピエロの覆面を被った男が銃を構えながら姿を現す
その男はニュースで報道されていたコンビニ強盗犯で、瞳の腹に銃で傷を負わせここに連れてきた張本人だった
強盗犯は川崎を手術して治すように脅迫しやむなく速水はそれに従うこととなるが・・・



謎の男に占拠された病院を舞台にしたサスペンス・ミステリー映画

原作者の知念実希人も2時間の映像化作品を意識して書いたらしく、テンポが良くて観やすい
こういうライブ感を感じるようなタイプのサスペンスは邦画では珍しいかも

謎の襲撃犯と謎の患者、それだけでなく病院にも謎が
謎解きミステリー要素は割と随所に散った伏線で察することもできるけど、気になる謎が物語をグイグイ引っ張る
襲撃犯との頭脳戦も緊迫感が途切れることなく進むので、純粋に面白いしやはり作品としてのまとまりは良い感じ

当直代わっただけなのに、襲撃犯と命懸けのやり取りしながら謎解きまでさせられる主人公は気の毒すぎるものの、破茶滅茶な設定を勢いで引っ張る潔さが楽しい作品
純粋なサスペンス、ミステリーとしてではなくエンタメに振り切った作品と割り切って観よう


妙に綺麗事で終わる
エイデン

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