ベビーパウダー山崎

死に至る愛のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

死に至る愛(1984年製作の映画)
3.0
信仰とはまったく関わりのない生き方をしているが、自殺にたいしては常に思うところもあるので、その両端から引っ張られている感覚がどうにも落ち着かなく、90分で結論が出るはずもない宗教的議論の不毛さ含めて無駄に疲弊した。
臨死体験後に「死後の世界は気持ちが良く留まりたかった」的なことを告白したり、三途の川を思い出してふらりと川辺に立ち寄ってみたり、死神に一度でも魂が触れると現世に居場所がなくなる感じは想像力を掻き立てられ面白く見た。伝播する死への願望、その先がデタラメに黒沢清な方向へ話が流れればもっと楽しめた思うが、結局は信仰(神)と愛情の天秤、自殺の是非を問うような尤もらしい退屈さに落ち着いてしまい残念だった。
赤と黒の服しか着ないサビーヌ・アゼマ。スクリーンで見るファニー・アルダンは更に顔面がホームベース。何度も挟み込まれる黒バックに粉雪のような画、レネの『六つの心』でも同じように雪を降らしていた記憶。