セッセエリボー

死に至る愛のセッセエリボーのレビュー・感想・評価

死に至る愛(1984年製作の映画)
4.2
暗い木々を抜けてゆっくりと家に近づくオープニングショットでいきなり観客を運動に投げ込んだ直後、こちらの理解を上回る速度で繰り広げられる蘇りのくだりが凄まじくて完全に持っていかれた。ショットとショットの関係、映像と音との関係が全て切断され再接続されたような『マリエンバート』を思わせる手つき。シモンが蘇った瞬間に切り返しただけなのにエリザベットが持ってたはずの受話器がしっかり置かれているところなど、映画の意味作用としてはつながっているが物語の整合性としては食い違っている瞬間が垣間見られ、その断絶の隙間に落ち込んだ何かをこちらが常に捉え損なっているような感覚に心地よく振り回された。正直冒頭がピークだったがそれでも満足感あるほど見応えある冒頭だった。